従来動物実験の問題
マウスを用いた従来の動物実験は、その有効性、効率性、倫理的受容性に影響を与えうる様々な課題に直面しています。以下が主な問題です。
ショウジョウバエを用いた超効率的な創薬
近年、高齢化社会の一層の進行や生活習慣の変化等により、がんや生活習慣病を含む種々の疾患に苦しむ患者の増加が続いています。これに対応すべく、製薬企業を中心に各種疾患に対する新規治療薬の開発が進められていますが、開発期間の長期化やコストの高騰等さまざまな課題が研究の効率化の妨げとなっています。食品や化粧品業界においても、安全性試験における哺乳類の使用に対する倫理的な懸念が高まっています。
これらの社会的課題の解決に向け、当社FlyWorksはショウジョウバエを基盤とした超効率的な創薬プラットフォームを提供しています。ショウジョウバエは安価(マウスの1/1000倍)で繁殖が容易(マウスの50倍)であり、倫理的な問題もほとんどありません。さらに、ショウジョウバエは哺乳類と類似した遺伝子(ショウジョウバエはヒト疾患遺伝子の8割を共有)や薬物応答メカニズムを有しており、哺乳類に代わるモデルとして非常に有用です。これらの利点を活用し、当社はがん、心疾患、脳卒中、糖尿病などの治療薬開発に従事するとともに、食品、化粧品開発における次世代の研究基盤を提供しています。
北海道大学(園下研究室、小松崎研究室)、東京大学(合田研究室)、Icahn School of Medicine at Mount Sinai(Cagan研究室)の研究成果を基盤として、科学技術振興機構(JST)の大学発新産業創出プログラム(START)及び戦略的創造研究推進事業(CREST)、日本医療研究開発機構(AMED)の創薬基盤推進研究事業、日本学術振興会(JSPS)の研究拠点形成事業の支援のもと、当社が誕生しました。
News
2024年11月:Peterson社長がBIO Europeにて出展
2024年10月:Peterson社長がSWITCH (Singapore Week of Innovation and Technology)にて出展
2024年09月:三菱UFJ技術育成財団の研究開発助成金を獲得
2024年04月:bioRxivでプレプリント論文「Flow Zoometry of Drosophila」を発表
2024年03月:米国マサチューセッツ州でFlyWorks America, Inc.を創業
2024年03月:北洋銀行スタートアップ研究開発基金の助成金を獲得
2023年09月:北海道札幌市で株式会社FlyWorksを創業
2022年03月:Photonics Challenge 2022で最優秀ビジネス賞を受賞
2022年02月:NEDO Technology Commercialization Program 2021で優秀賞を受賞
2022年02月:NEDO Technology Commercialization Program 2021で認定VCを受賞
2021年10月:NoMaps Dream Pitch 2021で優秀賞を受賞
2021年10月:NoMaps Dream Pitch 2021でNEDO TCP賞を受賞
2021年10月:JST大学発新産業創出プログラム(START)に採択
ショウジョウバエはマウスと比べて1000倍安価(1円未満/匹)
ショウジョウバエはマウスと比べて50倍多く繁殖(約20匹/日)
ショウジョウバエはマウスと比べて10倍速く次世代を取得可能(約10日間)
動物実験において、ショウジョウバエはマウスと比べて10,000倍効率的
マウスを用いた従来の動物実験は、その有効性、効率性、倫理的受容性に影響を与えうる様々な課題に直面しています。以下が主な問題です。
従来の動物実験は、時間とコストがかかります。医薬品の場合、研究室から市場に出るまでの開発プロセスには10年以上かかることが多く、何千億円ものコストがかかります。食品検査もまた、特に広範囲の汚染物質や品質パラメーターを検査する場合、同様の問題に直面しています。
マウスを用いた従来の動物実験には、重大な倫理的問題があります。研究や試験における哺乳類の使用は、ますます非人道的なものと見なされるようになっており、動物実験を削減または廃止し、代替方法を見つけるよう、世間や規制当局からの圧力が高まっています。
食品製造や医薬品開発のペースが増すにつれ、大量のサンプルを迅速かつ効率的に処理できる検査法が必要とされています。従来の方法ではこのニーズに対応できず、製品開発や汚染事故への対応に時間がかかる可能性があります。
従来の動物実験の中には、現代のアプリケーションに必要な精度を提供できないものもあります。安全でない製品が市場に出回ることにつながり、偽陽性は安全な製品を不必要に浪費することになります。これは、安全性が最優先される食品検査と医薬品検査の両方において極めて重要です。
ショウジョウバエは、簡易な設備で完全自動の取り扱いが可能で、安価(マウスの1/1000倍)で、次世代が短時間(マウスの1/10倍)で多数繁殖(マウスの50倍)でき、倫理的ハードルがほとんど存在しないことなど、多くのメリットを有します。これらの利点により、当社は従来の動物実験の核心的課題に取り組むことができます。ショウジョウバエを用いれば、大規模で、個体レベルの、ハイコンテントな遺伝的・化学的スクリーニングを迅速・低コストに行うことができます。これにより、試験や創薬のプロセスがより効率的になるだけでなく、より効果的になります。
ショウジョウバエを使った新薬開発の成功例として、甲状腺髄様がんの分子標的薬vandetanibがあります。具体的には、甲状腺髄様がん患者で観察されるRET遺伝子の異常(RET[M918T])を模倣した有用なモデルマウスは存在しなかったのですが、グラスゴー大学のRoss Cagan教授(当社の共同研究者)がハエを用いて初めてモデル動物を作出することに成功しました。そしてこのハエを活用することで、RET[M918T]の阻害剤(ZD6474)の効果を見出しました。ZD6474は患者の無再発生存期間を延長し、このがんに対する初めての分子標的薬vandetanibとして認可されました。北海道大学の園下教授(当社取締役)は、この他に膵がんの様々な遺伝子型を模倣した初のモデルハエライブラリーを開発し、新規治療薬候補を同定することに成功しています(国際特許出願済み、当社に許諾予定)。
商品
ハエにおけるヒト疾患遺伝子ホモログの精密な遺伝子操作を通じて、精緻で繊細な全動物モデルの作製が可能になります。当社の研究開発の主力分野の一つは、ハエを用いた疾患モデルの作製およびその調整です。
当社の研究開発の主要分野は、ショウジョウバエ全身の膨大な3D画像データを活用し、最先端のAIを駆使した解析アルゴリズムの開発です。1日あたり約5TBの高品質な画像データを生成可能で、こうしたビッグデータを効率的に処理・解釈するためのカスタムソリューションを開発しています。
食品の安全性、品質、法的基準や衛生基準への適合性を確認するための個体レベルの評価を行います。化粧品の安全性、品質、法的基準や衛生基準への適合性を確認するための個体レベルの評価も行います。評価結果は迅速に顧客にお届けします。
チーム
よくある質問と回答
病気の起こり方において、ショウジョウバエと哺乳類が類似しています。実際に、がんなどのヒト疾患で異常が見つかっている遺伝子のうち、ショウジョウバエは75%以上を保有しています。それらの遺伝子異常を再現することで、疾患の模倣が可能です。
薬物応答において、ショウジョウバエと哺乳類は類似しています。ショウジョウバエでは、餌に薬物を混ぜることで、簡単に薬物投与が可能です。体内での薬物のふるまいや、薬物が効くメカニズムが哺乳類と共通しています。
甲状腺髄様がん患者で観察されるRET遺伝子の異常(RET[M918T])を模倣した有用なモデルマウスは存在しませんでしたが、グラスゴー大学のRoss Cagan教授(当社の共同研究者)がハエを用いて初めてモデル動物を作出することに成功しました。そしてこのハエを活用することで、RET[M918T]の阻害剤(ZD6474)の効果を見出しました。ZD6474は患者の無再発生存期間を延長し、このがんに対する初めての分子標的薬vandetanibとして認可されました。